デザイナーは経営層に寄り添う

▼ デザイナーの役割

 

Appleジョブスの到来により、「経営デザイン」について注目されているが、日本の企業では、まだまだデザインの重要性に対する認識は低い。

このブログを書くにあたり、デザイナーは経営層により近い位置で、上流工程に従事し、要件定義、更には会社の経営ならびに運用の方向性を決定するのが望ましいと提言する。

 

 現在、私はコンサルティング会社に所属をしているものの、以前はIT部門の開発プロジェクトにおけるデザイナーであった。

グラフィックデザイナーを経てWeb方面へ、そこからまた時代の変化と共にスマートフォンのUI/UXデザイナーへと流れた経歴だ。

もともとから絵を描き、バンド活動の中、作詞作曲をしたりとクリエイティブな方面に興味があったのもあり、デザイナーは自分にとって天職だと信じて疑わなかった。

やがて疑念を抱く時期がやって来るわけだが、とある大企業のIT開発プロジェクトにおいて、SEが上流工程で需要が高まり役職をも得る中、役職を与えられたデザイナーは誰一人としていなかった。

それでも、確実に要件を握り、プロジェクト内のエンジニアと運営の橋渡しをしたのは、デザインチームだった。

未完結の要件が運営からデザインチームに降りてくる中、デザインチームは虫に食われたような情報の欠如した資料を元に、こうではないかと絵におこして、やっと要件が固まるという流れが出来あがった。

デザイナーは形のないものを形にし、分かり易く絵におこし問題定義をする能力はどの職業よりも優れている。

私は、上記の事から要件を固めプロジェクト全体の潤滑油の役割を果たすのは、デザイナーが適任であると考える。


 

▼日本においてデザイナーの平均年収が低い理由

 

フリーランサー・主婦等がデザイン制作を安くで請負いデザイン価値が低迷。

⒉ 上記に伴い、デザインは誰にでも出来ると思われている。

⒊ 実質的に日本のデザイナーの質が低い。

 

⒈ と⒉については、情報化が進む中誰もがパソコンを持ち、photoshop等のツールを手軽に扱える昨今、このような事態は避けるのは難しいが、⒊については言い逃れが難しい。

日本のデザイナーは絵を描くだけで満足する人が多いが、アメリカではプログラミングの技量・知識、ならびにマーケティング/ブランディングの知識を持ち合わせてようやくプロフェッショナルなデザイナーと言えるのだ。

「デザイン思考」と呼ばれるモノの領域は2008年に横へと広がりを見せ、どこまでも広がり続ける領域に境目はなく、今度は縦へも深まりつつある。

横軸は、UI/UXや言語・開発・マーケティング/ブランディングの知識等。

縦軸は、デザインのクオリティーをとことんまで向上し、更にはイノベーティブ(創造性)が要求される。

つまり、一つできて満足する時代は終わったのだ。



▼今後のデザイナーの課題

 

「デザイン思考」が際限なく広がり続け、そこに食らいつき続けるのは生やさしいものではない。デザイナーは軽んじられても良い職業でも、もちろんない。

私は、現在コンサルティング会社に所属をしているが、誰一人としてデザイナーを正しく評価し、またデザインの重要性をきちんと認識出来ている人は限りなく0に近い。

どうしてなのか、それはデザイナー自身の課題でもあると思う。

デザイナーは、お金に頓着しない人が多く、また重要視されない事に対し、声を大にして意見する人も少ない。

それを美徳と感じる人もいるかもしれないが、私はもう少しコンサルのようなずる賢さと図々しさがあっても良いと思う。

もっと、貪欲に経営層に潜り込み、デザイナーの持つ問題定義をする力と、プロジェクト全体の橋渡しとして潤滑させる能力、ひいてはクリエイティブかつイノベーティブに力を発揮して欲しい。